学生生活

学究的な環境


社会学研究科 教育学専攻
修士課程2年(2018年度現在)

大学(学部)では日本語専攻で、日本語をはじめ、日本の社会や文化などを勉強していました。勉強すればするほど日本に対する関心が深くなり、卒業後は日本へ留学し、学究的な雰囲気の中で大学院生として研究していきたいと思いました。慶應義塾大学は有名な私立大学で、研究レベルの高い先生方がたくさんいらっしゃいます。教育・研究の資源が豊かで、学習する環境がとてもいいと感じられ、進学することを決めました。
大学院は学部のときより授業数は少ないですが、目的意識を明確に持ち、自分で計画をたて、研究を進めることができます。常に自主的かつ積極的に動くことが重要だと感じています。ゼミでは、定期的に研究の進捗を報告します。先生方や先輩は親切で、丁寧に指導してくださいます。貴重な意見をいただくことができ、専門性の高い知識を持った仲間と学びを深めていくことができるこの環境は大変恵まれていると日々実感しています。研究の過程で得られるもので自分が磨かれ、それが自分の持ち味になってくると思うので、大学院でしかできないアカデミックな経験をたくさん積んで今後のキャリアに活かしていきたいです。
外国で生活や勉強をすることは、一人で成し遂げられることではありません。これからも、たくさんの方々の支えで自分が大学院で勉強できているということを忘れずに頑張りたいと思います。
ぜひ社会学研究科で、一緒に楽しく充実した大学院生活を送りましょう!

思い込みに直面し、痛みのただなかで考え続ける

中村 香住
社会学研究科 社会学専攻
後期博士課程3年(2018年度現在)

私が取り組んでいるのは、秋葉原における〈性の商品化〉の一形態としてのメイドカフェにおける女性主体の経験の研究です。研究方法としては、秋葉原のフィールドワークとメイドカフェで働いていた女性へのインタビューを行っています。その分析を通して、女性身体と市場の関係性についてネオリベラリズム以後の状況を考え、第三波フェミニズムの新たな地平をひらくことが目標です。
私が所属する研究室では、毎週のゼミで、指導教員の専門であるアートベース・リサーチのプロジェクトに取り組むとともに、学生一人ひとりの個別の専門分野について自由に研究発表をして皆で検討する時間が設けられています。外国人留学生も多数在籍しており、ディスカッションが多言語で行われる時もあります。多様な背景を持った学生が集まっているので、思わぬ視点に気づかされることも多々あります。
人々が「取るに足らないこと」と一蹴してしまいがちな物事にどうしようもなく引っ掛かりを感じて、原理的に考えようとせずにはいられない、そんな人に大学院は向いていると思います。学問、特に社会学は、自分を解放してくれます。研究を進めれば進めるほど、自分の思い込みに直面させられますし、それは時に痛みを伴う経験かもしれません。しかし、その痛みのただなかにこそ、自由と解放の契機があると思います。こうした営為を自分にとって切実で大切だと感じる人は、本研究科でともに学びましょう。

現職教員として入学して

井上 俊恵
社会学研究科 教育学専攻 2008年修了
群馬県立高校 教諭

教員として働き出してちょうど10年経ったとき、私は自分の立ち位置が分からなくなっていました。他者から職業を聞かれれば、県立高校の英語教員となるのでしょうし、その仕事の価値を問われれば、生徒の人格形成と彼らの望む進路実現に寄与できることとなるのでしょう。しかし教科書や指導要領に書かれていること、学校文化として当たり前のように生徒に伝えていることに、果ては自分が身を置く学校そのものに私は疑問をもつようになりました。同時に、社会で成人として生活する中で自分自身に向き合わざるを得ない場面も多々あり、自分自身のアイデンティティも揺らいでいました。
そこでそのモヤモヤに向き合うために選んだのが慶應の社会学研究科でした。なぜここでなければいけなかったのか。休職制度を利用しての制限・条件に見合っていたことはもちろんですが、何より教育を社会学の中に位置づけているおもしろさがありました。
当初私が立てた問いは、「ジェンダーと教育」というものでした。しかし、社会学研究科という大きな枠組みの中で多角的に自分の関心に向き合う中で、そして卓越した教授陣と仲間に揉まれ追い込まれる中で、最終的には「批判的教育学の見地からの教員と生徒の関係性」について論文を書くことになりました。入口の関心と出口の論文は、私の中ではしっかり繋がっています。性の枠組みの捉え方やそれに付随する価値を他者に教えるとき、仮に教える側がいかに「公正」で「全う」な理論に辿り着いたとしても、抑圧者(教員)vs.非抑圧者(生徒)という関係性の中でその伝達が行われるとき、果たしてそれはどんな意味をもつのか。伝達される側が批判的に知識に対峙できること、さらには伝達する側も批判的に自らの知を問い続けることの重要性をHenry A. Girouxの文献を中心に考えたつもりです。
現場に戻るに当たって、私のモヤモヤはなくなるどころかより一層大きくなりました。もちろん答えなんて出ません。しかし、慶應で培った「物事を考えるスキル」、「教育を問い続ける姿勢」がある限り、もうこのモヤモヤは嫌ではないのです。

三田で学ぶ意義

大西 慎二
社会学研究科 教育学専攻 2015年修了
香川県公立小学校 教諭

私は大学院修学休業制度を用いて一年目は東京で修了単位を修得し、二年目は土曜日に設定していただいたゼミに出席するために金曜日の仕事の後に東京へ向かっていました。
現職教員として入学しますが、ここでは自分の研究を学問として科学的に実証する一人の研究者として扱われます。その心地よさこそが、まさに私が心底求めていた環境でした。
従って、自分の研究に近い海外の論文を全文和訳して発表し、その内容について先生方や院生と討議する授業にも臨むなど、仲間と同様のカリキュラムで単位を修得しながら、自らの研究を進めていきます。教育測定方法や心理学統計など自分に足りない能力も学部の授業を受けて補える点も魅力でしたし、学位論文を執筆する際には先生方のみならず、一回り年下の博士課程の友人にも大変お世話になりました。
また、研究とは別に首都圏や東北の諸学校の授業参観にも30校余り訪れたり、単位交換制度を利用して毎週月曜日は早稲田へ赴いたり教育界での人脈が広がったことや、福澤諭吉記念文明塾に通い、民間企業の社会人と活動できたことも一生の財産となりました。このように三田には自由な学びと人と人の交流が満ち溢れています。
学校現場に戻った今では、教師としての経験則だけではなく、蓄積された研究者の知を活用すべく学術論文にも当たりながら「生き物である教育」にアプローチできるようになってきた気がしています。

専門性を磨き、学際的な知見を育む環境

髙瀬 友里恵
社会学研究科 社会学専攻
修士課程2年(2017年度現在)

私の研究テーマは「事実婚をめぐる言説の歴史社会学」です。具体的には、"法律婚ができないやむを得ない事情"に基づく選択として捉えられていた事実婚(内縁)が、1980年代を境に"法律婚にかわる一つの生き方"として捉えられ、語られるようになった経緯と背景を言説分析によって構築主義的な視座から紐解いていく研究を進めています。
本研究科社会学専攻はゼミ形式の授業がほとんどで、私は主に家族を対象とした研究を行っている先生のゼミを履修していますが、一口に家族研究と言っても対象やアプローチは多種多様にあるため、それぞれのゼミごとに、先生や先輩方の研究内容を反映した多角的なアドバイスや知見を得ることができる環境下にいます。また、少人数制で、研究対象のみならず在籍年数や年齢も多様な方々から構成されるゼミであるため、ゼミ員の間でフランクに行われる意見交換も、多角的な知識や考え方を相補的に摂取できる貴重な場となっています。
同じような分野やアプローチを専門とする先生や先輩方のもと自身の研究の専門性を高め、同時に、その専門性の中への閉じこもりを防ぎ、広い視野や知識を持つことを可能にするこの環境は、私自身が理想とする、専門性と学際性を兼ね備えた、バランスのとれた知見を有する研究者を志すに最適の環境と言えると確信しています。

深く、広く、学問を

鈴木 優
社会学研究科 教育学専攻
後期博士課程2年(2017年度現在)

私の専門は、18世紀ドイツの人間形成論です。文学や芸術が、私たちが自己を形成していく上で、どのような重要性をもつのか明らかにしたいと思い、大学院に進学し、教育哲学の分野で研究を続けています。
普段のゼミでは、ドイツ語文献を読み、教育者・教育思想家たちの思想や実践を学ぶと同時に、それを現代日本で研究することの意味や研究の方法、スタンスなどについても、教授や院生たちと議論しながら日々考えています。また、修士課程のときには、社会学研究科のダブルディグリープログラムを利用してドイツのハレ大学に留学しました。その後も、慶應にいながらドイツ人研究者を招いた授業に参加するなど、海外の新しい研究動向を直接知る機会にめぐまれています。研究していく上で、多くの刺激を受けることのできる環境です。
大学院に入ると、知識を吸収し蓄積していくのみならず、研究者の卵として、自分の研究結果を発信していくことも求められます。そのための徹底的な準備と、幅広い関心をもってコツコツ勉強していくことのできる人が大学院には向いているのではないでしょうか。私の場合は、教育学専攻に限らず独文学専攻のゼミに参加したり、院生たちと読書会をしたりすることで、専門領域を深めたり幅広い視野を獲得できるよう努めています。厳しい世界ですが、得るものも大きいです。

専門性と学際性の両立

松井 大
社会学研究科 心理学専攻
後期博士課程1年(2016年度現在)

私はカラスとハトの「採餌行動」の研究をしています。具体的には、両種が食物を取得するときの身体の「動き」を分析する運動学的研究と、身体がそれに適している「形」をしているかを調べる形態学的研究という2つの側面からアプローチしています。
「心理学専攻でカラス?運動?形態?」と疑問に思う方もいるかもしれません。事実、私の研究テーマは複数の分野にまたがっており、理工学部や外部の研究機関と共同研究も行っています。特に共同研究先の諸先生方には、解析技術のサポートや研究設備の便宜を図ってもらっています。社会学研究科には、自身の専攻の専門性を深めながら、近接領域と協力して研究を行っている大学院生も少なくありません。
本研究科心理学専攻は実験心理学を重視しています。大学院での講義はゼミ形式が多く、様々な実験心理学的研究に触れることになります。専攻全体が少人数で教員と学生の距離が近いため、指導教員以外の先生方から自分の研究について批判をもらうこともできます。そうする中で、自身の専門分野の知識や洞察が洗練されていくことを実感するはずです。自身の専門性を磨いてこそ、他分野の視点と技術から新たな着想や仮説を得ることができるのだと思います。
実験心理学の方法や考え方を深く学びつつ、近接領域の知見に触発され新たな発想を生み出していく。このように、専門性と学際性をバランスよく身につけ、研究課題に取り組みたいと考える方には本研究科は刺激的な場になるはずです。

「コスモポリタン」な研究者を育む環境

鈴木 弥香子
社会学研究科 社会学専攻
後期博士課程3年(2016年度現在)

私の専門は現代社会理論で、グローバリゼーションがどのような社会変容を引き起こしているのか、そしてその変容に対応するためのオルタナティブとして、コスモポリタニズムという構想がいかなる可能性を有しているのかについて理論的に考察するという研究を行っています。現在は、社会学研究科と南オーストラリア大学の間で締結されたダブルディグリー・プログラムを利用して、双方の大学で博士号を取得するべく、両大学に拠点を置いて研究を進めています。
近年、研究成果を海外に発信することがますます重視されるようになり、特に若手研究者には海外学会での報告や論文投稿が奨励されるようになっています。私の研究分野は日本よりも海外の方が研究が盛んなこともあり、博士課程に入ってからは海外研究者との交流や研究成果の発信に力を入れてきました。
こうした活動を、社会学研究科は後押しし、サポートしてくれています。英語でのプレゼンテーション講座の実施や英文校正助成、海外から著名な研究者を招聘しての集中講義、そしてダブルディグリー・プログラムの締結など、学生に対して積極的な支援を行っていると思います。自分とは異なる文化的背景を持つ人々との対話は決して容易ではありませんが、それは常に刺激に満ちていて、新しい視点を提供してくれます。こうした気づきや発見こそが研究の醍醐味であり、私が研究を進める上で大きなモチベーションになっていると思います。