特集記事

世界の最先端研究に触れる

2016.05.18

教育学特殊講義「ドイツ教育学研究の最前線」
特別招聘講師・ドミニク・クリ二ンガー
(オスナブリュック大学教育科学部講師)

社会学研究科の各専攻では、大学院生に海外の最先端の研究に触れてもらうため、特別招聘講師を毎年招聘しています。教育学専攻では、今年はドイツから新進気鋭の教育学者ドミニク・クリ二ンガー講師が来日して、3日間に渡り、最新のドイツ教育学の研究動向と、専門である家族研究について講義を行いました。ドイツでは、EU統合以降、世界の大学と密接に連携しようと大学教育革新を進めており、様々な国から留学生が訪れています。慶應義塾大学でも、外国の大学との研究連携を進めており、今回の特殊講義もそうした活動の一環といえます。

講義レポート
家族研究と教育学研究の接点

「私が専門としているのは家族研究で、とりわけ、家庭教育に主眼を置いています。小学校就学前の子どものいる家庭で、入学を挟んだ前後6か月の間に、両親と子どもにどのような変化が起こるのか、また、その移行期間における家庭内での様々な教育ストラテジーを明らかにしようとしています。ビデオや写真の撮影、あるいは、両親や子どもへのインタビューといった経験的な手法を通して、ランドセルや学習机などの就学準備をどのように進めていくか、どのようにそれらのものを使うことを子どもに習慣づけていくのかを、各家庭で調査しています。いくつもの家庭の様子を分析することによって、各家庭の教育様式にどのような違いがあるのかを明らかにするのが研究の最終的な目標です。今回の講義では、経験的な家族研究と教育学的な人間形成論を、いくつかの事例を通して学んでもらうつもりです。

現在、ドイツの教育学分野では、公的研究資金に関する規定が厳しくなってきており、研究を継続するためには、実証研究で成果を出す必要があります。そのため最近は理論と実証の両方を用いた研究が盛んに行われています。慶應の学生たちはドイツの教育哲学と教育理論をよく学んでいるので、その知識を活かして実証研究を進めていってほしいと願っています。今回の講義が、理論と実証研究を合わせた修士論文を作成する上でのヒントになれば幸いです。教育に関する理論的思考と経験的手法の両方を鍛え、理論の検証や実証研究で得たデータの分析などに役立ててもらいたいと思っています」

学生たちの声

講義に参加した学生は全員で4名でした。講義は全てドイツ語で進められ、学生たちは終始、真剣な表情で耳を傾けていました。また積極的に質問をする学生に対して、クリニンガー講師が丁寧に解説するといった場面もあり、学生たちは主体性を持って講義に参加しています。

「先生の実証的な研究と理論的な研究を合わせる手法に感銘を受けました。現在のドイツの教育学では、統計やフィールドワークなどの実証的な研究を、どのように教育学の理論と結び付けて研究しているか、またそのような流れがどのように出てきたかなど大変興味深くお話をうかがいました」と話す学生。

別の学生は「将来は、このまま研究者の道へ進むつもりなので、今回のような最先端のドイツの研究について学べる機会というのは、非常に意味があることだと思っています」と語るなど、実際に世界で行われている様々な研究の手法をダイレクトに知る機会は、学びの場としても大きな刺激になったようです。


ドミニク・クリニンガー|(Dominik Krinninger)特別招聘講師

2002年6月 ヒルデスハイム大学文化科学部卒業。2009年5月 ヒルデスハイム大学からデューイ研究で博士号(Dr. phil.)取得。2008年よりオスナブリュック大学教育科学部講師。専門は一般教育学、家族研究、美的人間形成論。

参考:教育学特殊講義
Empirisch gestützte Bildungstheorie

授業の内容

Das Seminar bietet einen Überblick und eine exemplarische Auseinandersetzung zur empirischen Forschung im Kontext pädagogischer Bildungstheorie. Nach einer Einführung zur Lage der Allgemeinen Pädagogik in Deutschland werden am Beispiel eines Projektes der erziehungs-wissenschaftlichen Familienforschung an der Universität Osnabrück theoretische und methodische Aspekte erarbeitet (Materialität der Erziehung, Verknüpfung von Theorie und Empirie), um auf dieser Grundlage bereitgestelltes empirisches Material gemeinsam zu analysieren. Den Abschluss des Seminars bildet eine Diskussion zur Bedeutung der Familie als pädagogischem Ort in Japan und Deutschland sowie zu Perspektiven der pädagogischen Bildungstheorie und qualitativen Bildungs-forschung.

Ziele der Veranstaltung: Einführung in Konzepte der Verknüpfung theoretischer und empirischer Forschung, Einführung in Fragen der Materialität der Erziehung, konkreter Nachvollzug am empirischen Material, Einblick in Forschungspraxis, Vergleich gesellschaftlicher Kontexte

授業の計画

Tag 1
Zur Einführung:
Allgemeine Pädagogik als Teildisziplin der Erziehungswissenschaft in Deutschland

  • Jüngere Entwicklungen in der deutschen Erziehungswissenschaft (Ausdifferenzierung der Teildisziplinen, Dominanz der „empirischen (quantitativen) Bildungsforschung",  Entwicklung von disziplinärer zu themenbezogener Forschung)
  • Entwicklungen der Verbindung theoretischer und empirisch-qualitativer Forschung

Familienforschung in Osnabrück: Theoretische und methodologische Grundlagen

  • Erziehungswissenschaftliche Ethnographie als empirische und theoretische Forschung
  • Verbindung hermeneutischer und sozialrekonstruktiver Zugänge in der Analyse
  • Zur Materialität sozialer Praktiken (u. a. Reckwitz)
  • Zur Erziehung als Wirkung der Umgebung und der Dinge (u. a. Dewey, Nohl)

Tag 2
Ein Beispiel: Das Forschungsprojekt „Familiale Bearbeitung des Übergangs in die Grundschule"

  • Gegenstandstheoretische Aspekte (Erziehung in der Familie als Pädagogik en passant, Gestaltung der Umgebung als wichtige Form der Erziehung in der Familie)
  • Möglichkeiten und Grenzen ethnographischer Forschung in Familien
  • Beispiele aus dem Material

Gemeinsame Arbeit am empirischen Material

  • Methodische Hinweise zum Umgang mit dem Material
  • Bearbeitung von ausgewähltem Material in Arbeitsgruppen
    (Fotografien, Videos, kurze Interviewausschnitte)
  • Präsentation und Diskussion der Ergebnisse

Tag 3
Abschlussdiskussion zur Familienerziehung und zu Perspektiven der Bildungstheorie

  • Erfahrungen der Studierenden: Erziehung in der japanischen Familie und ihre Materialität; Vergleich Japan - Deutschland
  • Perspektiven der Bildungstheorie und der qualitativen Bildungsforschung (Entwicklung und Wahrung pädagogischer Reflexivität; Beschreibungen der Historizität, Kulturalität und praktischen Hervorbringung von Bildung und Erziehung)