研究

竹ノ下 弘久 教授

社会階層と不平等:マクロな制度編成と国際比較

社会学研究科 社会学専攻
竹ノ下 弘久 教授

社会学の立場から、社会階層と不平等と呼ばれる研究領域を中心に、調査研究を行ってきました。その中でも、社会において不平等の生成、維持に関わるマクロ、メゾ・レベルの諸制度が果たす役割に注目してきました。考察の中心は、日本社会にありますが、日本社会の制度の果たす役割を可視化するために、他国との比較を重視して研究してきました。私自身のこれまでの研究では、東アジア諸国における不平等の国際比較を通じて、教育と労働市場をめぐる諸制度の相違が、不平等のあり方にどのような違いをもたらすのか検討してきました。こうした階層研究を進めるにあたり、日本社会全体の不平等構造と制度の関わりを明らかにするだけでなく、グローバル化という社会変動が不平等構造にどのような変化をもたらすのかを考察する観点から、海外から日本に移住してきた国際移民に注目し、かれらをとりまく制度と不平等との関係を考察しています。日本社会を中心とする階層研究を、国際的な視野から進めていくために、アジアや欧米諸国の研究者との研究交流と、国際的な共同研究にも従事しています。

近森 高明 教授

モノの次元に隠された「人間くささ」を発見する都市の技術社会史をめざして

社会学研究科 社会学専攻
近森 高明 教授

私の学問上のモデルは、W.ベンヤミンとW.シヴェルブシュ、G.ジンメルで、彼らの仕事を範例としつつ、おもに近現代日本の都市環境の変容を、文化社会学、都市空間論、そして技術社会史が重なり合う視座から探究しています。とくにシヴェルブシュの、ごく些末な技術史的事象を扱っているようでいて、そこからより一般的な知覚や想像力のパラダイム転換を導きだす手際に憧れ、さまざまな主題のもとに研究をすすめてきました。たとえばインフラ的技術。街灯、電柱、送電鉄塔、エアコンなど、自明すぎて問いの対象にならないような技術的事象にあえて注目し、その歴史的変遷を紐解いてみると、私たちの生活環境がどのような偶発的条件の積み重ねで成立しているのかがみえてきます。あるいは地下空間の利用。1920年代の地下鉄の導入や高度経済成長期の地下街の急激な増殖など、地下利用の変遷を眺めてみると、人びとを一種のフローとして扱う技術が、いかに都市に埋め込まれてきたかが顕わになります。都市空間にまつわるさまざまな事象を、端的なモノの次元に還元すればするほど、むしろ人間くささが浮かびあがってくる、そのような瞬間をとらえる社会学的な文体を模索したいと思っています。

皆川 泰代 教授

赤ちゃんの脳に社会的人間の起源を探る

社会学研究科 心理学専攻
皆川 泰代 教授

私の研究の軸は言語、社会性を含めたコミュニケーション能力の発達にあり、乳幼児-思春期を対象とした研究を行ってきましたが、学生達とも絵本や玩具の研究、運動発達研究、成人の研究など色々な「スピンオフ」研究も行ってきました。それら異なる研究が色んな意味でつながることも多く、人間の不思議を見たようなワクワク感があります。例えば最近の不思議は言語野の1つである下前頭回(IFG)です。新生児に言語を聞かせるとIFGが活動することも多く、言語機能の原型が新生児にもあることを見出してきました。しかし、新生児のIFGは、基本的な脳機能回路を反映すると言われる安静時脳活動においても、脳回路全体のハブ的役割をし、特にIFGと側頭部の繋がりの重要性が見えてきたのです。なぜIFGなんだろう?と謎は深まるばかりです。そのような時に成人の2者間の社会的相互作用時の脳活動同時計測や乳幼児の運動研究などが様々なヒントを与えてくれました。言語、運動、社会性、知覚、様々なキーワードがIFGを通して繋がってきます。赤ちゃんの脳にはコミュニケーションをする社会的人間として進化してきた謎がまだまだ隠されていそうです。

北中 淳子 教授

精神医学の人類学:うつ病、認知症の台頭に見られる「ライフサイクルの医療化」

社会学研究科 社会学専攻
北中 淳子 教授

精神医学を中心とした、近代においてグローバルに展開された「医療化」の現象について医療人類学の視点から研究しています。特に、20世紀を通じてそれほど問題視されなかった「鬱」が、1990年代以降「うつ病」として病理化され、世界的に大規模な精神医学的介入の対象となった「医療化」現象について考えるために、臨床現場で長年フィールドワークを行ってきました。現在は、ストレスチェック等を通じて、仕事をめぐる日常的苦悩が精神障害として監視の対象となり、老いによる主に認知機能の衰えが「認知症」という病理として捉え直される、ライフサイクルの医療化について調査を行っています。同時に、心理検査や疫学を用いた医療的スクリーニングに基づく新たな管理システムや、都市像の構築の動きに関して、その前提となる人間観や世界観について、人類学的視点から考察しています。「病いの経験」に関して、当事者の視点に根差した科学知を産み出そうとする国際的な動きにも着目し、海外の人類学者・歴史家・医師との交流や共同研究を進めています。

金 柄徹 教授

「東アジア海域世界」と「良心的兵役拒否」

社会学研究科 社会学専攻
金 柄徹 教授

主な研究を二つご紹介します。まず、「東アジア海域世界」における倭寇・家船・海民の歴史と文化を歴史人類学の立場から研究しています。日本・中国・韓国を繋ぐ「東アジア海域世界」では、古来より多くの交流がなされてきたにもかかわらず、海に携わってきた人々の活動や文化は既存の陸地中心の視点からは十分に読み取れず、またこの海域は、断絶された境界(空間)としてすら認識されてきました。日中韓の陸地権力から周辺に位置づけられてきたこの海からの視点を確保することで、既存の陸地中心(自国中心)の歴史が相対化され、読み直される可能性が大いにあると感じています。もう一つ、「良心的兵役拒否」問題を研究しています。韓国では、男性は約2年間を軍隊で服務することとなっていますが、南北の分断が続く中、兵役は「聖なる義務」であるとの認識が強く、兵役問題に触れることは長らくタブー視されてきました。しかし、2000年代に入り、宗教・思想・信念に基づき、兵役を拒否する若者が増え、「良心的兵役拒否」問題は大きな社会的イシューとして議論されつつあります。今後、韓国社会がこの問題にどのように向き合っていくのかを見極めて行きたいと思っています。

佐久間 亜紀 教授

優れた学校教員を育てる方法を多角的に探究する

社会学研究科 教育学専攻
佐久間 亜紀 教授

「いい先生」「力量の高い先生」とは、具体的には一体どのような教師のことをいうのでしょうか。私の専門は教育方法学で、学校教員の力量を高める方法や養成カリキュラムを、主に比較史的アプローチによって探究しています。時代や国や社会によって「優れた教師」の定義や要素は大きく変化しますし、教職に求められる専門性の内実も異なります。それゆえ私は、主に19世紀以降の日本とアメリカの教師教育の歴史を、教職の専門性の史的展開という観点から探究しています。私の研究の独自性は、この探究に女性史・ジェンダー史の視点を導入した点にあります。多くの国で教職は女性化されています。つまり、教育や教職をめぐる問題は、子どもを誰が育てるか、社会化された子育てが社会にどう位置づけられてきたのか、という問題と不可分なのです。新たな研究視角から、先行研究が見過ごしてきた事実を発見する作業は、スリリングな知的興奮に満ちています。さらにこれらの学術的知見をもとに、現代日本の教育現場における実践的問題の解決も探究しています。大学では教員養成の改善に取り組み、学校現場では授業研究や教員研修づくりに、現場の先生方と共働しながら取り組んでいます。

杉浦 淳吉 教授

ゲーミング・シミュレーションを用いた環境問題の解決

社会学研究科 社会学専攻
杉浦 淳吉 教授

環境問題への対処行動に関するリスクコミュニケーションについて社会心理学の立場から研究しています。環境問題は、健康や経済の問題など多様なリスクとかかわっており、こうした問題の解決をゲーミング・シミュレーションという手法で検討しています。ここでゲームとは、現実問題の構造をルールや様々な変数からなる抽象的世界であり、目的に沿ってプレーヤの様々な行動が展開されます。ゲーム終了後にはプレーヤがゲームで起こった出来事を振り返り、その経験と現実世界との関連を考察します。ルールに応じたプレーヤの意識や行動の変化といったことが研究の対処となりますが、プレーヤ自身がゲームへの参加によって多くを学ぶことも非常に重要な目的です。環境配慮行動の大切さを伝える「説得納得ゲーム」や利害調整や合意形成を行う「ステークホルダーズ」といった教育・研究用のオリジナルゲームを開発しています。エンタテイメントが目的のボードゲームやカードゲームでも活用方法の工夫次第で他では得られない有益な学びにつながります。大学院の講義でもテキストを読むだけでなく、実際にゲームをプレイしたりデザインしたりすることで問題を多層的に捉えていきます。

研究力と実践力を鍛える社会学研究科実習室

社会学研究科
山本 淳一(心理学専攻教授・社会学研究科実習室運営委員長)

山本 淳一(心理学専攻教授・社会学研究科実習室運営委員長)

社会学研究科実習室(以下、実習室)は、大学院生の実習施設として設立されました。当初は、三田キャンパス内、現在の南館のある場所の1階に建築された一軒家の建物。これは、臨床心理学研究において、来談者(クライエント)の方と大学生との動線が交差しないよう、プライバシーを確保するための配慮でした。
以来、大学院生の修士論文、博士論文の研究など、教育目的で活発に利用されてきました。設立時から、以下のような研究が、実習室を活用して行われています。社会学専攻が主導してきた、カウンセリング技法・心理アセスメント技法の習得、パーソナリティ研究、実験社会心理学研究。心理学専攻が主導してきた、行動修正実習授業、行動療法技法の習得、発達障害児支援の実践と研究。教育学専攻が主導してきた、幼児や成人の知能検査実習、ふたご調査研究、幼児の集団活動研究。
その後、いくつかの移転を経て、2011年に現在の南別館3階に拠点を構えることになりました。現在の実習室は、集団で子どもたちが遊べる「プレイルーム」、個別発達支援に利用しやすい「訓練室」、青年や成人の方たちとの面談、聞き取り調査、基礎実験ができる「面談室1」、「面談室2」からなっています。また、研究データの保管のための保管室もあります。
プレイルームと訓練室は、ワンウェイミラーで仕切られていて、両室の様子をモニターするための「観察室」があり、相手から意識されずにデータの収集や母子並行面接などが可能になっています。2015年には、プレイルームと訓練室を観察室からモニターし、映像をデジタル動画として記録するデジタル・モニタリング・レコーディング・システムが導入されました。
また、心理検査、発達検査、言語検査、認知機能検査、運動検査、適応行動検査、ストレス検査など、日本で用いられている検査の多くを所有しており、大学院生の教育と研究に供しています。
大学院生の実習時間を確保するため、実習は授業時間以外にも活発に行われています。例えば、2001年から開始された「臨床発達心理士」(一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構)の資格認定には、修士課程での関連分野の単位取得と同時に200時間の実習経験が要件となっています。実習室での発達支援の実習授業は、資格取得のために不可欠なものです。2017年度までに、9名の大学院生、1名の研究員が、実習室で実習経験を積み、「臨床発達心理士」の資格を取得し、研究職として、あるいは専門職として発達臨床現場で活躍しています。現在も、多くの大学院生が取得準備を進めています。
研究に目を向けると、双生児を対象にした観察・調査研究が進められています。データ収集のためには、実習室のモニタリング・システムが不可欠です。また、乳幼児の神経科学的研究を進める大学院生も増えてきています。実習室に設置されている近赤外分光装置(NIRS)、視線追跡装置などを用いた実験研究も活発に行われています。また、工学研究グループと共同で、モーションキャプチャーによる運動、社会的相互作用解析もスタートしました。
今後も社会学研究科実習室では、文理融合型の学問の独創性を活かしつつ、大学院生が将来の研究、実践現場で活躍するための教育基盤をさらに充実させていきます。

皆川 泰代 教授

心理学専攻・実験心理学レポート:
#1:乳幼児はいかにして心理的発達を遂げるのか

社会学研究科 心理学専攻
皆川 泰代 教授

慶應義塾大学大学院社会学研究科の心理学専攻では、実験心理学に重きを置いています。中でも皆川准教授の研究室では、生後5~6か月から2歳くらいまでの乳幼児を対象に、様々な発達検査から子どもの脳の発達過程を乳幼児から研究。対象者を0~2歳に限定するのは、脳はその年代に著しく発達すると考えられ、言葉も発達する時期だからです。またこの時期には、脳の基礎的な部分が出来上がります。

例を挙げると、0歳のある時期に眼帯をしていると、そちら側の目だけ悪くなってしまうのですが、これは非可逆的で、後から修正が効きません。それだけに、乳幼児の発達と心理の関係を解き明かすことが大きな課題といえるのです。

プレイルームでの発達検査

プレイルームでの発達検査

基本的な発達検査はキャンパス内に設置しているプレイルームで行われます。天井に設置されたドーム型のデジタルカメラによって、乳幼児の動きをリアルタイムで隣の部屋にある多方向モニタリングシステムで観察することもできます。

プレイルームで行われる乳幼児の発達検査にはいくつかの方法があります。母親の膝に抱えられた乳幼児の目の前で、赤を中心とした原色系の小物を振り、それをちゃんと目で追うか、あるいは手を出して握ろうとするかなど様々な反応を確認。この検査によって明らかになるのは、運動機能や手先の器用さで、ものの握り方からも発達段階のレベルを確認できます。この実験室には少数ですが、早産や、兄弟に自閉症児がいるリスク児と呼ばれる子どもの来訪もあります。そのような子どもたちに段階的に発達検査を行い、明らかになった言語や社会性の発達と、別途得られた発達初期の脳機能データやアイカメラの指標がどのように関係しているかを検討します。つまり、発達初期での脳反応が後の発達を予期するかを明らかにし、できるだけ早期に発達障害を見極める方法を見つけ出すことが研究の目的です。

防音室での脳機能検査

防音室での脳機能検査

この7~8年間、乳幼児の脳機能を検査していく中で明らかになってきたのは、赤ちゃんの脳は、大人の脳と多くの共通項があり、発達のレベルは以前から考えられていた以上であること。最近は、前頭葉と言語野などの脳と脳の結びつきを調べることも出来るようになってきました。例えば新生児でさえ、母親の声を聞いた時に自分がよく知っている声だということを同定し、その母親の声が言語野を活性化させるということが分かってきました。新生児の内から母親の声に反応する理由は、お腹の中にいる時から、よく耳にしていたからだと考えられます。逆に、生まれてすぐに母親から引き離され、長い入院生活などのため母親の声を聞いていないと、自分の母親の声には反応しなくなることもあります。これらの新生児の研究は慶應義塾大学医学部小児科学教室との共同研究です。

このような音声に対する脳機能を研究するため、防音室において近赤外分光法(NIRS)を用いた実験を行っています。NIRS計測では乳幼児の頭にセンサーを付けて、脳機能の検査を実施します。脳の一部が活性化すると、血流が盛んになり、その部分に光を照射した際、光がヘモグロビンに吸収され戻ってくる光量が減少します。具体的には、検出プロブと呼ばれるセンサーで、脳のどの箇所が活性化しているかを判断するのです。

他にも、母子愛着と脳の発達関係の研究から自閉症スペクトラム障害の発生原因の解明へも糸口を見つけつつあります。

発達心理学分野との共同研究

発達心理学分野との共同研究

最近は、発達心理学の山本教授と、発達障害の子どもについての共同研究も行っています。自閉症スペクトラム障害の子どもについても、NIRSを使っての検査を実施。例えば、アとエの母音の違いを、1歳過ぎている普通の子どもや大人は、左優位で処理します。一方、自閉症の子どもは、乳幼児の頃と同じように、両方の聴覚野に同じような反応が出ます。兄弟に自閉症児がいるリスク児でも、3歳ぐらいまでは、まだ自閉症スペクトラム障害かどうかの診断は付きません。そのような子どもたちには、0歳、1歳、2歳、3歳と段階的に追跡研究を続けます。

脳機能検査においては、NIRSとアイカメラと、両方を組み合わせて検査することもあります。例えば、目の前で話をしている人がいる場合に、相手の人の目を見ているのか、あるいは口を見ているのか、などということも分かります。一時期は、話をしている大人の口元を見る子が、言語発達が優れていると言われていたのですが、相手の目を見る子の方が、言語発達が優れているとも言われていて、色々な意見があるようです。

心理学専攻・実験心理学レポート:
#2:数字とデータから知る、発達心理学と臨床心理学

社会学研究科
山本 淳一(心理学専攻教授・社会学研究科実習室運営委員長)

「発達心理学」「臨床発達心理学」のゼミでは、発達にリスクがある乳幼児、発達障害(自閉症スペクトラム障害、限局性学習障害、注意欠如・多動性障害など)をもつ乳幼児・児童への応用行動分析学を軸にした発達臨床研究を進めています。対象としているのは、3歳~小学校低学年までの子どもたちとその保護者です。実際に、発達障害をもつ子どもたちとその保護者に来室していただき、3か月、6ヶ月、12ヶ月と発達支援を行い、大きな成果を上げています。このような発達支援研究と実践的な実習授業を通して、プロとしての力量を持つ研究者・実践家を養成してきました。これまで実習授業を受けた10名の学生が「臨床発達心理士(一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構)」の資格を取得しています。教育と研究を高次に融合させていくのが、社会学研究科の大きな教育目標となっています。

「自閉症スペクトラム障害を持つ子どもの場合、大人の論理で無理にその子の世界に入っていこうとすると、交流ができません。反対に、大人からの刺激を調整し、少しずつやり取りをしながらその子の世界に入っていくと、お互いの笑顔があふれて、楽しく交流ができるようになります。これは私たち専門家が学ばなくてはいけない特別な支援技術なのです。それを学生に伝えていきたい」。山本教授のこの言葉通り、「発達心理学」のゼミでは常に実践的な実習や研究が行われています。

モーション・キャプチャーによる実証

実践的な研究においては、データの集積とその分析が重要な要素となります。

「今年から、セラピストと自閉症スペクトラム障害を持つ子どもの3次元空間上の距離が、2人の関係性に合わせてどのように変化していくのかを数量的、定量的に分析するため、モーション・キャプチャーというシステムを駆使した研究を、工学研究者との共同研究としてスタートさせました。まず、セラピストと子どもに、天辺に光体(マーカー)をセットした帽子を被ってもらうことで、2人が部屋の中のどの空間の座標に位置しているか、そして、2つの光体がどのように動いていくのかを自動的に測定します。最初は、セラピストが来ると背中を向けて逃げ出していた子どもも、セラピーを重ねていく中で正面を向き、コミュニケーションがとれて、一定の距離間を保てるようになります。そういった変化を定量的に測定することで、支援の効果を客観的に明らかにすることが研究の目的です」と山本教授が語るように、ここでの実験には理工学的要素が多く取り入れられています。さらに、今年になって、デジタル式の多方向モニタリングシステムを導入して、多方向から同時に指導室やプレイルームの様子をモニターできるようになりました。この装置によって子どもと大人の動きを映像としてモニタリングし、より精度の高い分析が可能になりました。