現職教員枠入試について

社会学研究科教育学専攻修士課程では、2005年度から現職教員を対象とした入学試験を行っています。
これは、現職教員の大学院修士課程における学習の機会を増やすために、大学院修学休業制度が実施されたことに鑑み、積極的に現職教員を受け入れ、教育についての専門的な研究を行うことによって、教員としての資質能力の向上を図ろうとするものです。
就学に際しては、各教育委員会の大学院派遣研修制度や、大学院修学休業制度をご活用ください。

出願資格

詳細な出願資格については、、入学試験要項をご覧ください。

教育方法

授業は基本的に平日昼間の開講です。ただし、勤務先等の事情で時間に制約がある学生に対しては、夜間その他特定の時間または時期において授業や研究指導を行う等、柔軟に学習機会を提供しています。一年間の休業の後、二年次に職場復帰することも可能です。

修了要件

本研究科は専門職大学院ではなく、いわゆる学術大学院なので、現職教員枠で入学した場合でも修了に必要な単位数や修士論文の執筆、与えられる学位などは、大学院社会学研究科教育学専攻修士課程と同じです。詳細につきましては、履修案内をご覧ください

専修免許の取得

国語科・英語科・社会科の中学校専修免許状、国語科・英語科・地理歴史科・公民科の高等学校専修免許状が取得できます。そのほかの教科・学校種についても、取得できる場合もありますので、お問い合わせください。

学位取得プロセスモデル

学位取得プロセスモデル

進路・留学

現職教員枠修了者の主たる勤務地
東京都、埼玉県、群馬県、香川県、鹿児島県、横浜市、そのほか各私立学校

修了生の声

現職教員として入学して

井上 俊恵
社会学研究科 教育学専攻 2008年修了
群馬県立高校 教諭

教員として働き出してちょうど10年経ったとき、私は自分の立ち位置が分からなくなっていました。他者から職業を聞かれれば、県立高校の英語教員となるのでしょうし、その仕事の価値を問われれば、生徒の人格形成と彼らの望む進路実現に寄与できることとなるのでしょう。しかし教科書や指導要領に書かれていること、学校文化として当たり前のように生徒に伝えていることに、果ては自分が身を置く学校そのものに私は疑問をもつようになりました。同時に、社会で成人として生活する中で自分自身に向き合わざるを得ない場面も多々あり、自分自身のアイデンティティも揺らいでいました。
そこでそのモヤモヤに向き合うために選んだのが慶應の社会学研究科でした。なぜここでなければいけなかったのか。休職制度を利用しての制限・条件に見合っていたことはもちろんですが、何より教育を社会学の中に位置づけているおもしろさがありました。
当初私が立てた問いは、「ジェンダーと教育」というものでした。しかし、社会学研究科という大きな枠組みの中で多角的に自分の関心に向き合う中で、そして卓越した教授陣と仲間に揉まれ追い込まれる中で、最終的には「批判的教育学の見地からの教員と生徒の関係性」について論文を書くことになりました。入口の関心と出口の論文は、私の中ではしっかり繋がっています。性の枠組みの捉え方やそれに付随する価値を他者に教えるとき、仮に教える側がいかに「公正」で「全う」な理論に辿り着いたとしても、抑圧者(教員)vs.非抑圧者(生徒)という関係性の中でその伝達が行われるとき、果たしてそれはどんな意味をもつのか。伝達される側が批判的に知識に対峙できること、さらには伝達する側も批判的に自らの知を問い続けることの重要性をHenry A. Girouxの文献を中心に考えたつもりです。
現場に戻るに当たって、私のモヤモヤはなくなるどころかより一層大きくなりました。もちろん答えなんて出ません。しかし、慶應で培った「物事を考えるスキル」、「教育を問い続ける姿勢」がある限り、もうこのモヤモヤは嫌ではないのです。

三田で学ぶ意義

大西 慎二
社会学研究科 教育学専攻 2015年修了
香川県公立小学校 教諭

私は大学院修学休業制度を用いて一年目は東京で修了単位を修得し、二年目は土曜日に設定していただいたゼミに出席するために金曜日の仕事の後に東京へ向かっていました。
現職教員として入学しますが、ここでは自分の研究を学問として科学的に実証する一人の研究者として扱われます。その心地よさこそが、まさに私が心底求めていた環境でした。
従って、自分の研究に近い海外の論文を全文和訳して発表し、その内容について先生方や院生と討議する授業にも臨むなど、仲間と同様のカリキュラムで単位を修得しながら、自らの研究を進めていきます。教育測定方法や心理学統計など自分に足りない能力も学部の授業を受けて補える点も魅力でしたし、学位論文を執筆する際には先生方のみならず、一回り年下の博士課程の友人にも大変お世話になりました。
また、研究とは別に首都圏や東北の諸学校の授業参観にも30校余り訪れたり、単位交換制度を利用して毎週月曜日は早稲田へ赴いたり教育界での人脈が広がったことや、福澤諭吉記念文明塾に通い、民間企業の社会人と活動できたことも一生の財産となりました。このように三田には自由な学びと人と人の交流が満ち溢れています。
学校現場に戻った今では、教師としての経験則だけではなく、蓄積された研究者の知を活用すべく学術論文にも当たりながら「生き物である教育」にアプローチできるようになってきた気がしています。

よくある質問 FAQ

入学試験に関する質問

入学試験はいつ行われますか?
入学試験は9月に実施します(入学時期は4月)。試験は、大学院社会学研究科修士課程の一般入試と同じ日に行われます。 出願期間等は入試要項をご確認ください。
出願資格 「最低1年以上の大学院修学休業制度などによって入学できること」とはどういうことですか?
現職教員枠の入試で入学した場合でも、一般の大学院社会学研究科教育学専攻修士課程と同じく、少なくとも2年間の在籍が必要となります。しかし、都合により最初の1年間しか大学院修学休業制度などにより勤務する学校を休業できない場合でも、1年目に修了に必要な単位(32単位)を修得し、2年目は学校に勤務しながら、指導教授に論文指導を受け、修士論文を執筆することによって、大学院修士課程を修了することができます。 
受験に必要な書類として、職場同意書や在職証明の類のものは必要でしょうか?
出願書類として、在職証明書が必要となります。 また、合格後入学手続の際に在職中の学校が発行する「休業証明書」をご提出いただきます。
入学試験の第1次試験は、どのようなことが問われるのですか?
第1次試験の科目は、「小論文」と「教育学」です。「小論文」では、受験者の教員としての資質が本大学大学院社会学研究科教育学専攻での教育学研究に適しているかどうかを判定することを主眼とした問題が出題されます。「教育学」は一般の受験者と同一の問題です。

就学、生活等に関する質問

大学院ではどのような研究ができますか?
大学院社会学研究科教育学専攻では、教育哲学・教育史・教育心理学・比較教育の4つが主要な研究領域となっており、教育学の基礎的な研究を主に行っています。ですから、その4つの研究領域の中で研究テーマを選択することになりますが、現職経験を踏まえ、 教育についてあらためて考え直したいという志向性があることが望まれます。
何年まで在籍できますか?
4年間在籍できます。ただし、休学期間は算入されません。
どのような専修免許状が取得できますか?
大学院社会学研究科教育学専攻は、国語科・英語科・社会科の中学校専修免許状と国語科・英語科・地理歴史科・公民科の高等学校専修免許状の教職課程認定を受けています。したがいまして、それらの免許状につきましては、教育職員免許法第5条に基づきまして取得することが可能です。しかし、そればかりではなく、教育職員免許法第6条の教育職員検定によって、すでに一種免許状を有し、さらに3年以上良好な成績で勤務した旨の実務証明責任者の証明を有すれば、他の教科の中学校専修免許状や高等学校専修免許状を取得することや小学校専修免許状などを取得することも可能な場合があります。教育職員検定の基準は、都道府県教育委員会によって異なりますので、あなたが大学院修士課程修了後に免許状を申請しようとする教育委員会に問い合わせることが必要となります。